筆者はアフターコロナ時代のゴルフについて考える中で、今後のライフワークとして、「SDGsとゴルフ」という大きなテーマに取り組んでいきたいと思うようになりました。
SDGsが掲げる17の「持続可能な開発目標」の中で、ゴルフとの関係が最も深いのは、15番目の「陸の豊かさも守ろう」だと思われます。
そこで筆者は、ゴルフ場が自然環境に及ぼす影響についての知識を得るべく、[ゴルフ場 森林保護]というキーワードでNETを検索してみました。

NET検索でトップに表示されたのはJSGCA(日本ゴルフコース設計者協会)という業界団体のホームページでしたが、筆者は2番目に出てきた「環境破壊は本当か?ゴルフ場開発への誤解」というブログ記事の中にあった、自称 “日本唯一の森林ジャーナリスト” 田中淳夫さん著「ゴルフ場は自然がいっぱい(ちくま新書) 」というタイトルの本に惹かれました。さらにNET情報をたどってみると、同書が既に絶版になっていて現在は、「ゴルフ場に自然はあるか? つくられた『里山』の真実」というタイトルで電子書籍(ごきげんビジネス出版)になっていることがわかりました。
「積ん読(どく)」愛好家でデジタルアレルギーの筆者ですが、かくしてebookjapanというサイトから同書を税込594円で購入し、電子書籍初体験となりました。
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筆者は “成長経済(=消費拡大経済)” から “循環再生経済” への平和的移行が、SDGs達成の大前提になると考えていますが、その中で「緑地」の維持・再生による二酸化炭素の削減というテーマは、地球規模の緊急課題の一つと言えるでしょう。
直近でも、アメリカ西海岸、オーストラリア、アマゾン川流域などの森林火災で、気が遠くなるほど大きな面積の緑地が焼失しており、樹木の燃焼によるCO2の発生と、緑地の消失によるCO2吸収量の減少を勘案すれば、地球規模での危機的状況が急速に進行していることは、文字どおり「火を見るより」明らかでしょう。
かたや日本国内に目を向ければ、もともとは地球温暖化のせいで多発するようになった大型台風への対策として、道路沿いの森林で何十年もかけて育った大木が無残に切り倒されている風景や、開発業者があの手この手で「新築一戸建て」願望を煽りつつ貴重な里山を削って建売り住宅を造り続ける様子が、日常的に見られます。
また近年では夏場の熱中症対策として小中学校にもクーラーが設置され、高齢者には夜間もクーラーをつけっぱなしにすることが推奨されていますが、クーラーは室内から排出される熱量に加えて消費した電力に対応する熱エネルギーを大気中に放出するため、さらなる温暖化の一因となります。長い目で見れば、屋上緑化や周辺緑化によってクーラーの使用を抑えるべきでしょう。
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上記田中さんの本は、日本国内に反ゴルフ場感情が広まった歴史的経緯や、現代の自然環境においてゴルフ場が果たしている役割を、豊富なインタビューや実証データに基づき、公平かつ平易に解き明かしているので、次号以降にダイジェスト記事を掲載していきたいと思います。
